[男の反応は、その身軽さはまたしても魔の予測を上回った>>228飛来する黒き刃を交わして頭上に振り上げられた剣、頭上に落ちるかと見えたそれを防がんと手を差し伸べ──… ──── ざ、と。くるり、曲芸の如くに宙で身を捻った男の動きに魔はやや遅れた。刃は過たず、魔の後背を切り裂いていく。振り返る、魔の顔には苦痛ではなく歓喜の色があった。切り裂かれた間から、ざわと濃い魔の気配が溢れ出る。]