[少なくとも、難攻不落を謳う要塞を支える白狼騎士の総督。
それが国外資源を調べていると聞けば、先ず穏やかではないだろう。
(どう取るかは、参謀様、その人の考え次第である。)
俺はただ、あった事実を述べるのみだが。]
然し先王様は流石ですね。
公務で多忙でありながら、尚且つ、
息抜きの場である私の前でさえ。
公文書を書いている素ぶりの欠片をも、
隠してみせたのですから。
[彼の心内に波紋が投げかけられたならばいい、と思った。
驚くほど俺の気持ちは中立にはなかった。 “両王子の何方でもない” のは、依然と変わりなかったのだが。]
あぁ、然しながら両王子様は。
何とも…酷な立場でしょうね、現状。
[あっけらかんとして、普通に言ってのける飄々さだった。]