[それにしても、この避難もできなくなった緊急時に、
ずいぶんと落ち着いた様子のお客様だな……と思う。
それに――…普通はこの状況で、
誰もが一番にするだろうことを、彼はしなかった。
“非常事態? 何があったのか?”と原因を知ろうとすることを。
まるで確認せずとも、心当りでもあるかのように。]
……ああ、ご挨拶が遅れましたね。
俺は、警備部のカレル・ソレイリューヌと言います。
あなたは?
[微かな違和感を覚え、念の為と名前を確認しておくことにした。
不審を悟られないよう、
此方から名乗って、名を尋ねてみる。]