― 昼過ぎ・宿の食堂 ―
(…食べられればなんでも…は困るか)
[ スタッフに「パンと、スープがあれば」と声をかける。
昼から重いものを食べるのは気が引けた。
元々たくさん食べる方でもないので、それぐらいで充分足りる。
しばらくして運ばれてきたロールパンとミネストローネの乗ったトレイを受け取り隅の席へと座った。
読みかけだった本を開いて食事をとっていると、本を読む視界の端に少女が目に入る。>>239
黒で統一された華奢な少女のシルエットは昼中の食堂の中で影絵のようにくっきりと映え、思わずそちらに目が向いてしまう。
目が合えば、気まずそうに会釈をしただろうか。]