[やがて足を止めたのは、教会側へと向かう分かれ道の脇。
近くの民家の物置の影から、白い毛の端がちょこっと覗く]
ほら、あそこあそこ!
雪が降る前にあそこに生えてた草がよっぽどうまかったらしくて、未だにここに来るんだよなアイツ。
ちょっと待ってろよー、おっじゃまー!
[人の家の敷地内だけれど、そんなのお構いなしに踏み込んだ。
パンのバスケットを片手に、物置の裏に潜む子羊へと足音を殺して歩み寄る。
充分に距離を詰めたところで――]
わっ!!
[大声を上げて、子羊を脅かした。
慌てた子羊が、ぴょこんと飛び跳ねてカタリナの方へと駆けてゆく……!]