[ 二人のもたらしたものがまた新たな命になるなど、
そんなロマンチックな御伽に恋い焦がれる少女ではなかったけれど
咲いた花を時折失敗しながらも育てる姿は
そう遠くない未来に。
その際に口遊む唄は彼も知らない調べ。
歌詞も音階も意味などなかったけれど
神を敬うものではなく、
この歌しか知らないと嘘をつきながら
真の愛を綴って、想い出を望む。
おいでと誘うのはどちらの声だろう。
その秘密を知るのは恐らく二人だけ。
赫と蒼の混じった夜の下、
時たま流れる竪琴の音は弾み続ける。
それはまさにネロリの咲く花の丘で。 ]