[───その頃。
正門には、ウェルシュの命を受けた兵らが詰めかけている。
彼らは訓練された動きで小隊を組み、ある者はシュナウザーら監査局の者らを援けるべく動き、ある者らは監査局長の命>>199を受け、裏へと回るべく場を離れた。
そしてもう一隊。それらがウェルシュの命を実行すべく動く。
それは何気ない、戦力にもならぬかの動きであった。
門の脇、旗掲げるための小部屋に駆け込んだ彼らはラメールの旗を取り出す。
それを、王城の門に掲げた。
するすると登る旗は暁に陽の登るが如く、空に翻って威風を示す。
それはラメールそのもの、ラメールの誇りの象徴そのものだった。
王宮に寄せ来る者の目にも、王宮を守る者らの目にも等しくそれは映っただろう。ささやかな、ただそれだけのこと。
けれど、王国に忠誠誓う者ら>>220の心動かす一助には、なるのかも知れなかった。*]