― 後日・某治安組織 ―
[アデルの里から帰って来て更に数日後。
レトはこれまでの報告のために所属組織へと足を踏み入れた。
戻って来たと言う連絡だけは入れておいたが、何があったかまでは報告していない。
それを後回しにしていたところ、上司から出頭命令が下ったのだった]
おいジジイ、来たぞ。
[上司の執務室に足を踏み入れての第一声、敬う言葉は一切出なかった]
「面と向かってジジイとは良い度胸だな。
仕事中はキャップと呼べと────」
[説教が始まりかけたが、それはある事象により途切れる。
レトの上司の視線の先には、レトが勝手に連れて来たアデルの姿。
アデルからも上司が驚く表情を見ることが出来たはずだ。
スキンヘッド眉無しの強面が間抜けな表情をしているのはさぞ滑稽だったことだろう。
しかしその表情をしたのは一瞬のこと、目を吊り上げた表情になると、レトを自分の傍に引き寄せひそひそ話を始めた]