[暖炉の前までたどり着くと、座り込んでずずっと音を立てながら紅茶を一口。
お前にはまだ早いから、と母親はペーターに紅茶を飲ませてくれた事はなかった。
いつも、「独り占めズルいよ、すっごく美味しいんだろ!」と子供っぽく不貞腐れていたものだ]
……思ったより、ちょっと渋いや。
[これなら、いつもの林檎ジュースの方がずっと美味しい。
道理で、まだ早いとお預けをくうわけである。
……それでも、暖炉の炎も温かい紅茶も、冷え切った身体を温めてくれるものには違いない。
一口、また一口と飲みすすめる内に、あっという間にティーカップは空になった]