―回想:仕立て屋への道すがら―
[恐らくエルナの薪は本当に、全く、ちっとも、足りてないのだろうと。
あのエルナが「ちょっと足りない」ではなく「足りない」というのだ。
蓋を開けてみれば「薪は全く残っていない」となっていても、それは別段驚くべきことではない、と。
少なくともフリーデルはそう思っていた。から。
シモンの言葉には少なからず驚いたし、これぞ渡りに船!とばかりに目を輝かせ。
シモンの手を両手でぎゅっと握り、目と目を合わせる。]
シモンさん。
[実に真剣な表情で。それはまるで嘆願のようであった]
恐らく、本っっっっっっっ当に足りないので!
……覚悟して、行ってくださいね。
………お願いします。
[極めて切実な様子で深々と礼をして。仕立て屋に向かうシモンとはそこで別れた。こちらは一路、教会へ]
― →教会へ ―