仕立て屋 エルナ

　―悲痛な再会―

[もうみんな談合室に行ったのだろうか、エルナが教会に着いた時には、ゲルト以外に人はいないようだった。

そこには、ゲルトが、横たわるように置かれていた。

わかってはいたが、本当だったのか……

神父たちによって清められたゲルトは、宿で見た時と同じように、静かに眠っているようだった。だが、その身体の損傷が、彼がどうしようもなく変わってしまっていることを、何よりも明らかに示してしまっていた。

右肩から左脇腹にかけて、鋭く走る爪のような傷跡。>>156 >>1:657

エルナは何故か痛みを感じない左手を、ぎゅっと握りしめた。

ぽっかりと抜け落ちた昨晩の記憶。そして、身に覚えのない場所で迎えた朝。そして、この左手。]