────、ん。[ギィを見送り、彼女を傷つけないよう慎重に剣を鞘に戻す。空いた手で上着を肩から落とし、脱いで彼女の肩へと掛けた。どこかぼんやりとした様子が、…首筋の赤が気になる。きゅ。と、袖を掴まれて意識を戻した。ふわりと揺れるような翠へと視線を戻す]俺の名前、ですか──…[氷蒼の双眸が見開かれる。ずっと昔、こんな風に聞かれたことが───確か、あった]