─機関室─
……流石に、疲れる。
[司令塔から走り通しとは、普段身体を使わない電測員には少々辛い。
息を整えながら、機械油くさい空気のなかに、爆発の残滓──火薬と犠牲者の血の微粒子を感じた気がした。
それでなくとも、機関室というのは特殊な場所だ。機関の熱でひどく暑いし、船底一枚挟んで地獄というように艦の最深部にあるので、沈没時に退艦が間に合わないことも多く、また、艦の傾斜復元のために注水されることさえある過酷な場所だ]
しかし……機関室に入るなんて、配属当初のオリエンテーション以来だな。
[大型艦では、新乗員を艦内地理に慣れさせるため、その種のことをよくやる。
それを受けていないローレルとコンラートはさぞ大変だろうと思った*]