[ややあって、遠くを見ていた男の褐色は現実に引き戻される。>>223血の匂い漂う部屋の主であるジークムントの声を、今度ははっきりと聞き取る事が出来た。]――っ、あぁ…。[欠けた視界の端にジークムントの握る剣の柄が見え、のろのろと手を伸ばす。やや反応が遅れたのは、動揺の所為だと思われるだろうか。]