……俺には、分かりません。
俺のような詰らない者の何が、貴女の興味を引いたのか……。
[血を吸ったのはアルビンなのに、その場合は優位はアルビンの方になるのだと乏しい知識の中にあるのに……何故か奇妙な慕わしさを感じてしまう。
その知識が間違っているのか。
それとも、舌にまだ残る味から少しだけ伝わってくるもの。
……血親ほどではないけれど、彼女がアルビンよりずっと年上の、練られた吸血鬼だからだろうか]
[同族の血。罪の味。
けれど、その血はアルビンの体や喉の傷を癒し、渇きを一時とはいえ癒してくれた。
彼女の美しい喉に牙傷をつけなくて良かった、と思う。
もっと空腹で、もっと狂っている状態なら、どうしていたか分からない]