―宿―
[宿へ来てから多かれ少なかれ、時間が経過した。
宿に足を踏み入れた途端には、多様な感情、願いが自身へと流れ込んでくるのを感じるのだった。しかしそれは只のきっかけに過ぎず、宿内に限らない、村そのものが、どこか騒がしいと俄かに感じていた。
…は宿に来てからというもの、特別己から話しかけるようなことはせず、ただ望まれたことや願いにのみ応えていたのだった。
逆を言えば、望まれたことなどシモンからパイ作りのコツを問われた>>230程度で、それ以外は特に何もしなかった。何故なら特に望まれなかったから。
シモンからの要望には、極力望まれるままに応えられただろうか。]