……あ……りがと、う…。
好きって…よくわからない…でも…
たぶん……私も…好き、だった……かも。
最後に会えて…良かった……。
[ボソボソ、と小さく呟いた言葉が相手に聞こえたかどうかはわからないが、手に持っていたカップをテーブルに置いて、両手の膝の上で握りしめた。
もし彼に階下へと誘われたら、固まったまま動けずに『先に……行ってて…私はもう少し…』と俯いていたことだろう。
神父が階下へと降りて行くならその背中を見送るつもりだったが、座ったまま動きそうになかったら、落ち着きなく耳が震える。
――感情が表に出にくい分、耳はよく動くようで]
下……行かない、の…?
私と話してても…きっと、楽しくない……。
最後の夜は…もっと、楽しく過ごしたら…いい。
[しゅん、と赤らんだ耳がまた垂れるのだった。]**