― 船に乗る前日・とある墓地 ―
……。
[夕暮れ時。
刈谷は一人、バイクを走らせ隣県へ向かう。
目的地は友人の墓地。
その日が丁度三回忌。
恐らく日中には友人の家族が参っていたのであろう。
墓石は綺麗に磨かれ、真新しい花が飾られていた。
その傍らに、持参した百合をそっと手向ける。]
あれから2年、か……。
まだ犯人は見つかってないんだよな……。
[ある朝、街中で変死体となって発見された友人。
身体中に暴行の痕が見られたけども、何故かその死に顔は安らかだったと、事情聴取に来た警察から聞いた。]
あの夜、私も一緒にいたのにな……。