[都を追われてからというもの、ずっと逃亡と潜伏の日を送っていた。
後になって思い返せば、さほど厳しい追手は掛かっていなかったように思うし、生活に必要なものは全てチャールズが調達し、安全な居場所も確保してくれていた。
けれども逃げた領主の息子を捕えて差し出し、新たな支配者に阿ろうという輩は0ではなかったし、幾度か危険な目に遭いもした。
父を殺され今までの生活を追われ、人目に怯えながら放浪するという生活は、幼い少年の心を閉ざすのに十分なものだった。
その閉ざした扉を、純粋かつ遠慮のないあの眼差しで押し開け、少年を外へと引っ張り出したのが、3つ年下の彼だったのだ。]