―夜:森の近く―
[エルナとの会話の後。
彼女はもう一度、手首に香水 >>207 を振り。
誰にも気付かれないよう、こっそりと宿屋の裏手から抜けだして、独りでそこにいた。]
……………あまり、いい気分でも、ありませんね………本当に。
[口伝されてきたことが本当ならば、この香水には、コルネリアスの血と反応して人狼を呼び寄せる効果があるのだという。
今まで試したこともないため、それが本当かどうかはわからない。しかし。
こうすれば、その日は、人狼たちがもっとも脅威とする者が襲われずに済むのだ、と。
確かに、自分を引き取った先代の神父は、かつて自分にそう告げた。
それこそが、自分の役割だ、と。]
………
[自分の生を願うべきなのか。自分の死を願うべきなのか。
自分の生存欲と、責任の重さ。
それら両方を心で天秤に掛けつつ、彼女は一人、黙してそこに立つ]