―― 中庭・シメオンside ――
[少年の家はというと、どっちかという女性の方が強い家柄である。
母の尻に敷かれている父を幼少の頃から見てきたので、
少年自身も気がつけば年齢関係なく、
この学び舎で出会った女生徒を「さん」付けしている――という背景はさておき]
そうか、お菓子は捕まえたと。
ぼくはまだ両方とも捕まえられてないんだ。
[アイリの成果を耳にすれば、そう応えて、かすかなため息。>>220
結局、鈴カステラで釣ろうとした魔法生物にも、
素直に通り過ぎることを許してしまった。
ぼくじゃ一番にはなれない、そう思っているとはいえ、
失敗に対して思うところがないわけではない]