─ 回想:ある商業国の老騎士との出会い ─ おやぁ。お客さんかぁい…?[叩きつけるような雨音を割って、届くノックと声>>122があった。こんな天気の日に誰だろうと首を捻りながら、男は玄関に顔を出す。するとずぶ濡れの老婆が、馬の轡を握って立っているではないか。] 今日は急に降り出しましたもの、ねぇ。 どうぞどうぞぉ、軒先と言わずゆっくりなさってください。[困ったときはお互い様だ。家に招き入れ、身体を拭く布を渡す。妹のユーリエに頼んで温かいお茶を運んでもらった。]