[ 上体は揺らいだが、膝をつくことはなかった。好機と見て打ち掛かってきた相手の攻撃を躱し、唇を引き結ぶ。──三度、改悛の機会は退けられた。と、背後に身動ぐ気配がして、彼の人が囁く。>>228 ] 御意。[ 一筋の疑念を挟むことなく、窓際へ走る。灰の積もる器に手の甲を叩きつけた。物を握る力は弱まっていても、充分な破壊力となろう。 ]