― 王都陥落から数日後:城門前 ―[離れた場所から、何か叫んだものがいる。カレルという名なのか、と記憶の片隅に放り込みながら、ボウガンが放たれるのを意識に留めた。多分あれを受けても死にはしない。しないけれども、痛いものは痛いから嫌だな。なんて思考とは全く無関係に体が動く。掴んでいる王子と自分の体勢を、ほんの少し変える。自分が隠れるように、射線上に金髪の若者の身体を置いて。]**