[自分が人間ならそんな細かいとこまで見てられないと思っている男は、ゲルトとヨアヒムの遺体の違いに疑問を抱いたカタリナ>>214に内心舌を巻いた。これは心してかからねばと気を引き締める。]
ゲルトが言った通り人狼が二人なら、それぞれ違ったものが襲った。だから手口が異なっていた。ここまでは俺も同じ意見だ。
だけど、君のお兄ちゃんが誰かに憎まれていたなんて、そんな有り得ない。楽天家でおっとりして、すごくいい奴だったゲルトが恨みを買うことなんてしたはずないと、俺は幼馴染として断言できる。
[獣が知っている情報を極力排除しつつ、しばし考える。再び頭から煙を吐きそうになったが、何とかこじつけの理由をひねり出した。]
俺の考えは、ゲルトのときはまだ誰も人狼がいると知らなかったからじっくり時間をかけて工作できたけど。ヨアヒムのときは、既に人狼の仕業と分かっていて警戒されてたから手早く済ませたかったとか。
[オットーが派手な演出をしたのは文字通りショーの開催と解釈してて、自分のそれは面倒だったからが一番大きな理由だが、それは口にしなかった。
カタリナに促され、俺も行くと立ち上がったところで、囁きかけられる。]