― 回想・3年前 ―
そっか、いいお嫁さんになるのがマリーの夢なんだ!
……、でも。
[その、いかにも女の子にはよくありそうな夢を、にこりとしながら聞いていたが、
ふいに、ともすると忘れそうになるひとつの事実に気付き、表情にかげりを見せる]
マリーは貴族だから……。
親から、こういう人とお見合い結婚しなさい、とか言われたら、
そうしなきゃいけないんだよな?
それって面倒なことじゃないのか?
[少年の言葉を失言と判じた師匠が、穏やかな表情の中に厳しげな視線を混ぜる。
相手が相手なだけに引き下がることにしたものの、
気に食わない、という風に肩をすくめ、]