……ディーク。(>>221)
[笑顔は、浮かぶ事はなかった。
ただ、不安げにその眉尻を下げた。
口を開き、なにかを紡ごうとしても
なかなかその名前以外、音にならなくて。
……しなくて。
そんな戸惑いと傷心は、どこまでが
芝居だっただろう。
膝を抱え、俯いた]
………誰も信じてくれなかった。
それどころか、私が人狼なんだろうと
言わんばかりの勢いで責められたよ。
……私には、マーティンの後を
任されるなんて、無理だったんだ。
[それはきっと、本当にそうなのだ。
海賊の船長が人狼?
仲間を今まで食い殺さなかったのは
まだその花を芽吹かせていなかったから、
ただそれだけ。
花開いてしまった今、自分にはその資格は
無いだろう事はわかる。
ただ、へにゃり。
眉尻を下げて、やっと力無く、笑った]