人狼物語−薔薇の下国

68 Es2nd― 緋の世界に滲む月 ―


伯爵家・次男 フェリクス

……。

[>>223怖がるカシムを、何処か諦めてしまったようなレトの血を啜った。―それは自分で決めた事で。

最後に見たレトの表情。その瞳には酒宴の時と同じように光はなかった。
―かつて伯爵家で暮らしていた頃の男のように。

酒宴の後、廊下で泣いていた彼をソマーリュに任せ、男は一人、ラウンジに行って夜空を眺めていた。
衆目の前で王子に与えられた痛苦に耐え、その後に泣きだした彼の姿を見て浮かんだ、どうにもならぬ感情を持て余して。

だからレトがその夜の事を「覚えていない」と言ったのを聞いた時、男は何も見なかった事にした。
あの宴でレトは何も自分に晒してはいないのだと。

だからオズワルドに問われても曖昧に誤魔化し。
時折からかいながら、脳裏に焼き付いたあの時の表情を塗りつぶそうとした。]

(237) 2013/10/07(Mon) 01:22:10

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