いや、私はそんなつもりでは……。
あなたを縛りたくはないのです。
それに……
[フェリクス様を慕っておいででしょうなんてさすがの彼も口には出さなかったみたいだ]
私の思想に従えとは思っておりません。
むしろ、あなたの意思で決めてほしいのです。
家柄も立場も関係なく、決めていただきたいのです。
[それがどれだけ上の立場からの言葉か彼もわかっていた。
向かいあって、アイリの側に近づいた]
怪我はありませんか?
あなたの決意を蔑ろにしたこと、謝罪いたします。
でも、あなたが望む王が誕生した場合――、
それは即ち国王陛下のご遺志が偽りだったとされたときでしょう。
私は……、尚書官として国王陛下のご遺志が本物だと言う責任を持っております。
[王様の遺志を偽ったとすれば、彼はタダではすまないだろう。
首がつながっていれば御の字だろうと考えていた]