[わたしは吟遊詩人の歌に耳を傾けながら、運ばれてきた食事に手を付け始めた。
任務を果たす前だから、酒は控えて代わりに果物のジュースをもらう]
…素敵な歌ね。
[そして、この国はなんて平和なんだ、と思いをかみしめる。
あの国境の崖を超えたら、そこには一日の食事すらままならない子どもがいくらでもいるというのに]
……。
[わたしは頭の中に沸いた思いを打ち消すと、目の前の食事に意識を向ける事にした。
ただし、そこまで思い詰めているわけではなく。
誰か声を掛けてくる者がいれば、顔を上げて応じるくらいはできるだろう。*]