[かつて、私はお前に語った。
“一番右の月に あかりが灯るのが見えるだろう
そのあかりの導く先に、“ネオ・カナン”があると聞く。”
我らシケムは、『地球』のふるい言葉にいう“狼”に似ながらも、お前たち“人”めいた姿をしている。
お前はこの目を、あのあかり――星に、似ていると言った。
いのちは星の上でのみ培われたものではなく、宙より落ちた手のひらが撫でたがゆえのものである――パンスペルミア――それが正しい説であるかは、わからないが。
いずれ、どこかで同じ祖を、持つ者であったのかもしれない。
“その星に住まう 赤い目の はらからは
既に消え去り 久しいという
この星もまた 訪れたものたちの手で
じきに変わりゆき
多くの者が 滅びゆくのだろう”
“ガルー”に食い破られる前、『既にあの村が滅びかけていた』ことを思えば。
我らが行く末は、知れた。]