[アレクトールの元には、帝国への連絡便に積み込まれる書類として、戦死あるいは戦死見込みの者の名を綴った書類が届けられていた。何処で、どう死んだかまでは記されていない。年齢も、性別も、出身地もなく、階級すら記載されていない名簿。等しく帝国の兵で、等しく失われた命だ。アレクトールは、海の見える窓辺に立ち、全員の名と所属を読み上げる。 皆、よく戦ってくれたと。ひとりきりの儀式だった。]