― 霧がまだ晴れぬ中・上空 ―
私だって、負けるわけには。
いかない理由があるんだもん!
[通信の声は聞こえた。けれど答えている余裕はなかった。
至近距離での風に手間取ってくれているうちに体を戻して。
曲刀を握っていない左手をトルメンタに添えて、共に息を吸い込んだ。
白竜が大きく翼を広げた姿勢に、ゾクリとするものを感じはしたけれど、振り払うように声を上げた。
それはなぜか親しい人に向けるような口調になっていて]
――冷舞!
[避けろとも言われたけれど。>>232
そんなに小回りの効く竜ではない。覚悟を決めて、相殺し、あわよくば打ち破れることを願って、合図を送る。
大きく顎を開いた氷竜の喉から生み出された冷気の渦は、無数の風の刃に向かって放たれた]