── 薄明の中で ──
[ラメールの空が朱と紺に混ざる時、男は行動に移した。
城の中ではランプが灯され、見張りの兵士と多忙に追われ仕事をしている者が残っている程度、日中の城内よりは閑散とした廊下を
コツリ コツリ と迷いなく進み、ノックするのは窓から明かりが漏れていた外務長官執務室。]
夜分遅うに、えらいすんまへん。
[さて、外から様子を見たときはひとりであったが、今も同じであったろうか。]
ちょっと、気になることがありまして。
資料見させてもらいたいんですけど…。
[フット・イン・ザ・ドアという言葉にあるように
まずはドアに足を掛けてみることにした。]