[食事をしたいという彼女の言葉は率直で切実そうだった。
危うくも見えるが、二人は士官ではなく兵士だ。
男は腕組みをして―吊られた左手に右手を添えて― 一度息をついた。]
……分かった。
だが、書置きを残していくぞ。
これ以上疑われれば身に危険が及ぶかもしれない。
それは頭に留めておいてくれ。
[容疑者への拷問は十分ありうる事だ。
行動には注意するようにと暗にそれを匂わせて、書置きを残すのであれば一緒に出ても構わない、と自分の考えを述べた。
同意を得られれば、散乱したカルテの中から一枚適当に拾い上げ、三人で食堂へと向かう旨を書き記して机の上に置いただろう。
血を発見すれば一瞬顔は強張るだろうが、先程のように取り乱したりはしない。
進んでは近づかないだろうが。**]