― 撤退後 ―
[カレン東の平原から撤退後。
改めて何も出来なかった自分を思い返して唇を噛んだ。
何度考えても、頭はどうしてもひとつのところに辿り着いてしまう。
自分は今のままで騎士団の、ヤコブの役に立つことが出来るのだろうか。
こうして後を追い続けて背中を見ているだけで、
彼を一人にさせないことなど出来るのだろうか。
ぐるぐると考えていると、不意に一つのことに思い当たる]
魔法……。使えたほうがいいのかな。
[騎士団に入団してから、触媒を通しての簡単な魔法を習う機会はあって、発動することに成功もした。
だが他に、もっと魔法への才能を示している人間がそれなりにいる以上、自分は剣技を磨くことに専念ばかりしていた]
あの
[3年前、魔境の門に向かう自分たちをペンホールズの入り口で待ち構えていて、おみおくりをしてくれた魔女の存在が脳裏に思い浮かんでいた>>0:476]