― 水軍旗艦『八幡』・甲板 ―
[他方、船の柵の上を駆ける影があった>>226。
細い足場は熟練の水軍兵であっても、そうそう上に立とうと思うものではない。
だからその動きは、どこか意識に引っ掛かるものがあった。
或いは一列まとめて切り裂かれた船幽霊の腕を見て、かもしれないが]
海の兵士にもそうそう出来ない動きをされるとは。
――いや、負けてはいられないな、これは。
[二者とも対抗をするような存在ではないのだが、そこはそれ。
いつ止まるとも知れない船幽霊に対し、今は奮起が必要な時だった。
再び他の船員たちに交じって、対処に駆け回る*]