―帝国側・氷の橋付近―[>>185 馬を巡らせる男は、片目を眼帯で覆っていた。ひとつだけの瞳は酷く小昏く、全身に塗れた鮮血よりもさらに、濃厚な血の匂いを纏って見える。だから、その顔貌が見知ったものである事など、当初は、気づかなかった]――……。[>>198添えられた手に、目線で肯く。『猫』は未だ、自分の正体を知らせる事を望まないのだろう。此の侭帝国側には、『有能な技官が攫われた』としておいた方がいい――。]