[見上げて、ぎょっとする。そこにいたのは、...の知る彼ではなかった。>>229]
シメオン…?一体何を言って…
[子どもの声で問いを重ねて。くるくると表情を、口調を変える彼は、シメオンの顔をしているのに。全く知らないたくさんの人を目にしている錯覚に陥る。
何が起きているのか分からない。声は恐怖に震えた。思わず、一歩ずつ距離を取ろうと足を後ろに下げる。]
どうしたのシメオン…変だよ…
[ひたりと見据えられると、ひゅっと息が鳴った。
怖い。怖い!
こんなの、シメオンじゃない!
思わず逃げようと走り出そうとするも、動揺した足が絡まって転んでしまう。...は必死に立ち上がろうと、震える腕で体を支えようとした。]