使用刀剣からも明らかなのは、賊が外来者であるということ。
まあ、俺も元は海を渡って来た海賊の子孫らしいが……アリー大尉は、一目で。異国の血を引く事が明らかだ。
知己であればすぐにわかっただろう。
大臣を含め全員が切傷で死亡しているのに彼だけが生存した。
そして《狼》か。
ニコラス中佐を通じて彼が帝国側の城砦配備の情報をこちらに寄越したのも、氷乙女のくちづけ作戦の折、帝国兵を少なからず倒したこともあるが、あまりに活動内容と本人の経歴が伏せられ過ぎている。
諜報部よりも権限の高いところから直接命を受けて動く事が多かったようだが……。