[ 魔力のキャパシティは充分、風との親和も申し分無い、おまけに伝説の大魔法使いと似た容姿…と、くれば、周囲に期待するなという方が無理な話。だが、どういうわけか、ウェルシュは子供の頃から魔法が苦手だった ]
[ パワーは充分な分、失敗すると暴走が半端ない。それが余計に少年を萎縮させたのか、次第に魔法の練習より剣の練習に力が入るようになり…今ではすっかり、剣の腕の方が魔法より上、と自他共に認める始末だ ]
[ それでも「出来る事をすればいい」と、ウェルシュの両親は寛容に息子を励ましていたものの「大魔法使いの血筋」にこだわる親類縁者の多くは事有るごとに「せっかくの血筋が」とか「大魔法使いの名に泥を塗る気か」と姦しい ]