[ヤコブがペーターを疑う根拠として持ち込んだ花瓶は、テーブルの上からは移動させたものの、そのまま談話室に置いてある。最も損傷が激しい底辺部分が分かりやすいように、側面部分とは別にした形で。]
……。
[どうか、安らかにと告げたあと談話室を出るヤコブ>>213の背中を見送る間、作業は一旦中断する。謝罪を受けたときは、気にするなと軽く会釈をしただけだったのに。
ヤコブは何も言わなかったけれど、戦場で体験したことは誰にも言うつもりはなかった。今までも、そしてこれからも。
ただ金の髪を血で染め、ローテス キューケン(赤いひよこ)と呼ばれた頃のことは絶対に忘れない。]