[本陣の後方で寝ていると、いろんな情報が飛び込んでくる。前線では見えなかったものが、ずいぶんと見えるようだった。それらの情報の中に、妙なものもいくつかあった。たとえば「猫がいた」という斥候の報告など。林の端に猫がいて、泥濘の罠が発動したのを見届けけどこかへ行っただの、むしろ猫が鳴いた瞬間に発動しただの、挙句の果てには二本足で歩いて森の方へ行っただの。聞いたヤコブは、猫好き多いのかなと首をひねっただけだったが、もちろん幻獣に詳しいものなら別の結論を得るだろう。*]