[向けられた琥珀の双眸は仄かな闇に煌めく星。
一定の距離を保ったままで相手を認識できるのは魔性ゆえか
それともユーリエがそれだけ輝かしい存在ということか。
どちらもだろう、と思いながら彼女の声を聴く。]
魔物に――、吸血鬼になったのは……
魔に通じたと教会を追われこの城に来てからだ。
頼れる者は――、手を差し伸べてくれたのは、
野茨公ただ一人だった。
無理やりではない。
けれど、人であった頃を、忘れられない。
[嫌悪しか向けられぬだろうと思っていたが
問い掛け話しをしようとする様は優しい聖女像を強める。]