[そうして長々とした時の中で、愛妻を満喫していた男はゆるく顔を起こして、傍に蝶を呼ぶ。指先に闇の一片灯し、翅に書かれたメッセージへと眼を通した。足りない呪印《アンカー》は精々あと一つか二つ。丁度、四方に巡らせたのならば、力も汲み上げ易い。] ―――イングリッド、この御招待を受けようかと思います。 位置情報が集まれば、一緒に家路を辿りましょう。 ……貴女の憂鬱も聞けたことですし、 しっかりと、ゆっくりと、教えなくては。