なに、エディが?
本当に、アイツは仕方がないな…!こんな時に。
もしかしたら、先に避難したのかもしれない。
ドロシー、お前は彼女に守ってもらいながら先に行ってなさい。
ワタシは船内を一度探していく。
大丈夫、すぐに追いつくから。絶対、みんなで帰ろう。
[腰をかがめて、あくまで妹たちの心配をする兄を演じる。
避難誘導の声が聞こえていたから、振り返って「そこの人!」と助けを求めるような声で呼びかけて。]
妹を避難船までお願いします。
ワタシは弟を探さないと。
[なんでもないように言う。
妹と弟を心配する、普通の兄。
――もっとも、ワタシは末だったから、兄の気持ちも姉の気持ちも、「下がいたらこんなのかな」という擬似体験しかしていない。]