少しだけ昔話をいたしましょうか。
………あの乱の後、仇討ちをすることも考えました。ですが先がない。将の一人や二人は討てただけでしょう。何か天災的な運を発揮してアルブレヒトさんを討てたとしても、王国との交渉の窓口はあの方とアルブレヒトさん。その先がありません。
そして仇討ちに奔ればよりラモーラルは疲弊し、外交ではよりきつい条件となり…それこそ今頃地図上にラモーラルという地は存在しなかったかもしれませんね。
[こちらからすれば手詰まりでしかない。軍事力を悪戯に低くし、交渉をこれ以上不利にしないようにして宰相へとこちらは委ねた。
宰相もまた、コリドラスが領主派の将軍としりながらも今後のラモーラルのことを考えて受け入れて、王国との交渉を行ったのである]