いつの時代も、好きあったもの同士が結ばれるとは限らんからな。
あんたとは長い付き合いだし……ま、幸せになれるといいよな。
[そう言って、ぽん、と軽く頭を撫でてから手を離す。
「ハーフエルフは異種族同士の禁じられた愛の結晶」だとか、
「種族の壁を超えた存在」だとか。
そういう話は今まで何度か聞かされたことがあるが、生憎自分は「取り替え子(チェンジリング)」なのでそういう異種族同士の恋愛というのはピンとこなかった。
もしかしたら遠いご先祖様とやらはそういったロマンスに身を投じたのかもしれないが、今を生きる自分にはよくわからないものでしかない]
[言いながら、思い出すのは先ほどのエルフのこと。
エルフにとっての愛とはなんなのか。
自分から聞こうとは思わないし、彼女自身ピンと来ていないとは微塵も知らなかったが]
好きなことねぇ……俺っちは三度の飯と昼寝が出来れば万々歳なんだがな。そういうの探そうってあたり、お嬢ちゃんは真面目だな。
ま、お互い頑張ろうぜ。
[そう言うとまだエールの残っていた杯を一気に開ける。
お代わりを注文するついでにグレートヒェンにも何か頼むものはあるか、と先に聞くだろうか*]