― 回想・五年前 ―[ 友への返信は出来なかった。それが約束だったからだ。代わりに、男は、これまであまりしたことのない巫女姫への献上品を王府へ届けた ][ 恐らくは彼女の誕生日の祝いという名目だった筈だ。贈られたのは、古い小さな木箱。それは蓋を開けると、鮮やかな色彩で異国のおとぎ話の1シーンが描かれたオルゴール。オプティモの海岸に時折流れ着く、結界の外からの漂流物の一つだった ]