[廊下に響いた金属音は何処まで届いただろうか。拾い上げた剣を床に落とし、男はゆっくりとした歩調で吸血鬼へと歩み寄った。]ユリア…[小さく妹の名を呼ぶ。視線は遠く、闇の中に蠢く“影”へと向けられる。自分の声に反応してこちらをみた影があるのかどうかまでは、彼にはわからない。]